【輸入申告の電子手続き】NACCSとは?初心者向けに仕組みと流れを解説

海外事業者向け | 日本の食品輸入

はじめに

日本で海外から商品を輸入する際、必ず通過しなければならないのが「輸入通関(輸入申告)」です。
現代ではこの通関手続きの大部分が、オンラインシステムNACCS(ナックス)で行われています。本記事では「NACCSとは何か?」「輸入申告の全体像」「必要書類・税率・費用」「よくあるトラブル」まで、初心者にもわかるよう丁寧に解説します。


1. NACCSとは?

**NACCS(ナックス)は、
「輸出入・港湾関連情報処理システム」(Nippon Automated Cargo and Port Consolidated System)

という、日本の通関・港湾手続き専用のオンラインシステムです。


わかりやすく言うと…

税関・関係官庁・通関業者・荷主・船会社などが共通で使うネットワークシステム
です。

従来、書類を紙で提出・確認したり税関に出向いたりしていた作業を、ほぼ全て電子データで処理することで、
✔ 手続きの効率化
✔ 誤記載リスクの削減
✔ 手続き時間の短縮
が実現されています。


NACCSでできること

  • 輸入申告(税関用)
  • 食品等輸入届出
  • 輸出申告
  • 船舶・航空機の到着・出発情報
  • 税関関連の手続き進捗確認
  • 関税割当管理 など

NACCSに関する実務者向け・上級者向けの記事はこちらをご参照ください。
NACCS実務者向けガイド|初めて触る輸入担当者の操作ポイントと用語集
輸入担当として実際にNACCSを操作する際に、
迷いやすい画面・用語・入力の考え方を
実務目線でまとめたガイドです。


NACCS上級者向けガイド|修正申告・エラーコード・高度操作の実務ポイント
こちらは修正申告やエラー対応など、
実務でつまずきやすい高度操作について、
現場対応ベースで整理しています。

2. 輸入通関(輸入申告)の基礎知識

まず輸入通関の目的は次のとおりです。

輸入通関とは?

輸入通関とは、海外から日本へ到着した貨物について、税関に対して

✔ 商品の品名・数量・価格
✔ 原産国
✔ 輸入者情報
✔ 関税分類(HSコード)

などを申告し、必要な関税・消費税等を納付したうえで、貨物を国内へ引き取るための手続きです。

税関は申告内容を審査し、必要に応じて貨物検査を実施します。審査の結果、問題がなければ「輸入許可」が与えられ、初めて貨物を国内で流通・販売できるようになります。

なお、食品・化粧品・医薬品など法令規制のある貨物については、税関手続きとは別に食品衛生法や薬機法などに基づく届出・検査が必要になる場合があります。

輸入通関は単なる税金の支払い手続きではなく、「その貨物を日本国内へ正式に輸入してよいか」を確認するための重要な審査プロセスでもあります。


👉 関連:[個人輸入の関税が高い?課税価格の仕組みと計算方法を徹底解説]

通関手続きの大まかな流れ

  1. 貨物到着 → 保税地域へ搬入
  2. 輸入申告(NACCSで申告)
  3. 書類審査・貨物検査 (食品衛生法など)
  4. 関税・消費税等の納付
  5. 輸入許可が下りる
  6. 国内引取 → 配送開始
    (※保税地域=税金未払い状態の一時保管地域)

※継続輸入を行う事業者は「包括納期限延長制度」により、輸入許可後にまとめて納付できる場合があります。


3. 自分で輸入申告することはできる?

自分で輸入申告する人が増えています

近年は副業輸入やEC販売の普及により、通関業者に依頼せず、自分で輸入申告を行う人も増えています。

特に、

  • Amazon販売
  • ネットショップ運営
  • Alibabaなど海外仕入れ

を行う小規模輸入者の中には、コスト削減のために税関で直接申告するケースも少なくありません。

ただし、商業輸入の場合はインボイス・パッキングリスト・HSコードの確認など一定の知識が必要になるため、初めての方は通関業者へ依頼する方法も検討すると安心です。


こちらの記事もご参照ください。
Amazon FBA輸入のやり方完全ガイド|通関・関税・納品手順まで初心者向け解説

自分で輸入申告する場合はどこへ行けばよい?

輸入申告は、貨物が保管されている保税地域を管轄する税関(または税関支署・出張所)で行います。

例えば、

  • 成田空港到着 → 成田税関支署
  • 羽田空港到着 → 東京税関管内
  • 横浜港到着 → 横浜税関管内
  • 神戸港到着 → 神戸税関管内

など、貨物の到着場所によって申告先が異なります。

事前に配送業者やフォワーダーから通知される「到着通知(Arrival Notice)」を確認すると、どの保税地域に貨物があるか分かります。

4. NACCSでの輸入申告の流れ(図解)

以下は、初心者でも理解しやすい図解フローです。

5. 輸入申告に必要な書類一覧

NACCSでは以下のデータを入力・添付します。


✔ 必須書類・情報

書類/情報目的
インボイス(Invoice)輸入商品の価格・取引条件
船荷証券/B/Lどの船/便で来たかの証明
パッキングリスト内容物の詳細
貨物の数量・金額・原産国関税計算の基礎
申告者情報(輸入者名・住所・コード)NACCS申告に必須
100%配合表・製造工程表食品届出が必要なケース

※輸入申告ではさらに細かな項目として、2025年10月以降はECプラットフォーム関連項目も申告必須になりました。主に貨物の保管先倉庫に関する情報が必要となります。


👉 関連:[インボイスの記載ミスで通関が遅れる理由|NG例と修正方法]

✔ 場合により必要

  • 原産地証明書(関税優遇制度を利用する際)
  • 輸入許可証明書(薬品・食品など規制品)
  • 他の法令関連書類(検疫証明書など)

👉 関連:[食品輸入における原産地証明書(COO)完全ガイド]


6. 関税・消費税など税率の仕組み

輸入申告では、関税や消費税を含めた
「輸入原価」を把握しておくことが重要です。

実務では

・仕入価格
・関税
・消費税
・国際送料
・通関費用

などをまとめて計算して、
その商品が利益になるか判断します。

私はこれをExcelで管理しているため、
原価計算と利益シミュレーションができる
ツールをまとめました。

仕入価格を入力すると、
関税・原価・利益までまとめてシミュレーションできます。

▶ 輸入ビジネス原価計算&利益シミュレーター
(Excel・Googleスプレッドシート対応)

輸入申告の際に支払う税金は主に以下です。


関税

貨物の種類ごとに定められた税率を適用します(HSコードによる分類)。
税率は品目・原産国で異なります。食品においては原材料や製造工程によって細かく分類されています。

関税は商品の仕入価格だけに課されるわけではありません。

一般的には、

CIF価格(商品代金+国際運賃+保険料)

を基準として関税額が計算されます。


👉 関連:[HSコードが分からない時の調べ方|初心者が間違えやすい3パターン]

消費税

輸入貨物には**日本の消費税(標準10%)**が課されます。
(酒類・食料品など特例率が適用される場合も)

輸入消費税は商品代金だけではなく、「課税価格+関税額」をベースに計算される

ので、初心者が最も見落としやすいポイントです。

例えば、

  • 商品代 100,000円
  • 国際送料 20,000円
  • 保険 1,000円
  • 関税 5,000円

なら、

消費税は100,000円に対してではなく、

課税価格+関税額

を基準に計算されます。

(商品代100,000+国際送料20,000+1,000保険料+5,000関税) X 10% = 12,600 が納付消費税額となります。


🧮 その他の税

  • 酒税
  • 石油関連税

対象貨物に応じて上乗せされる税もあります。


7. NACCS利用にかかる費用

NACCS自体は税関のシステムですが、利用するには
✔ NACCS利用契約
✔ 通信環境・ソフトウェア
✔ 通関業者との手数料
が必要になります。


一般的な費用項目

費用項目説明
通関業者手数料代理申告を委託する場合の費用
NACCS利用料システム接続契約費用(通関業者等各社が負担)
税金以外の手数料バンニング費用、倉庫保管料など

※通関業者に一括委託するのが一般的です。
一方で、小規模輸入や副業輸入では、自ら税関へ申告して通関業者手数料を削減するケースも増えています。ただし、書類作成や税関対応はすべて自己責任となるため注意が必要です。


8. よくあるトラブル例と対策

以下は初心者輸入者が遭遇しやすいトラブルです。


❗ エラー原因① 書類不備

誤記載・不足書類 → 審査でストップ → 出港遅延
👉 原因:インボイスとNACCS申告データの不一致
対策:データを二重チェック

書類作成や届出で迷いそうな方は、チェックリスト付きの原価計算&書類作成ツールを活用することで、
初めてでも赤字や書類ミスを防ぎながら輸入を進められます。
輸入スターターキット(Excel/Google対応)


❗ エラー原因② HSコードの誤判定

誤った分類 → 関税率が違う → 税金追徴
👉 複雑な品目は税関の事前教示制度で確認すると安心です。


❗ エラー原因③ 法令規制対応不足

薬品・食品などの他法令関連手続き忘れ → 通関遅延・返送
👉 他法令(検疫・厚労法等)に合わせた書類準備が必要。


👉関連:[輸入通関で止まる主な原因7つ|税関から連絡が来た時の対処法]


9. 輸入者コード(Importer Code)とは?

輸入者コードは、NACCSで申告する際の「識別番号」です。
個人・法人を正確に識別するために申告書類へ入力します。


💡 どうやって取得する?

  • 法人:法人番号が原則利用可能
  • 個人(法人番号がない場合):税関が発行する輸入者コードを取得して利用します。

10. 輸入申告のポイントまとめ

✔ NACCSでのデータ申告が通関の基本
✔ 輸入申告書類は正確・完全に揃える
✔ 関税・消費税等税率はHSコードで自動算出
通関業者に委託する場合は手数料要注意
✔ エラー防止には事前対策が重要


NACCSは輸入申告の中心ですが、全体の流れの中でどのタイミングで使うかを理解しておくとよりスムーズです。詳しくは全体像の記事で確認してください。
【図解】食品輸入の流れを初心者向けに完全解説|申告・関税・NACCSまで


11. naccs用語集

用語意味補足
NACCS(ナックス)日本の輸出入・港湾情報処理システム税関・通関業者・荷主が使うオンラインシステム
輸入申告日本に貨物を輸入する際の税関への申告手続き書類提出や税金納付の流れ
HSコード商品の分類番号関税計算に必要。品目・原産国で税率が変わる
インボイス(Invoice)輸入商品の価格・取引条件を記載した書類NACCS申告の必須情報
パッキングリスト貨物の中身や数量をまとめた書類輸入申告で必要
輸入者コード個人・法人を特定する番号法人は法人番号、個人は税関発行コードを使用
通関業者申告や手続きを代行する業者手数料がかかるが初心者は利用推奨
関税・消費税輸入時に支払う税金関税はHSコードに基づき、消費税は原則10%

参考資料

  1. Import Procedures(税関)輸入手続き概要 (日本税関)
  2. 輸入通関の目的と流れ(JETRO)手続き全体の基本説明
  3. DHL:Import Customs Advice(関税・申告の実務説明)
  4. 国際輸送における輸入申告と関税のつながり(通関実務)