食品輸入の関税・消費税を正しく減らす方法|特恵関税(EPA・FTA)と還付制度を徹底解説

ケース別・商品別の注意点

食品輸入を始めたばかりの方や、すでに取引を行っている中級者の方でも、
**「思ったより関税や消費税が高い」**と感じた経験は少なくありません。

例えば、

  • 関税率を事前に確認せず輸入してしまった
  • 本来は特恵関税(0%)が使えたのに、通常税率で申告していた
  • 消費税は必ずコストだと思い込み、還付・繰延を検討していなかった

といったケースは、通関現場ではよく見られます。

輸入コストは利益に直結しますが、
前提条件は「合法・正確・説明可能」な手続きであることです。

本記事では、食品輸入における

  • 関税
  • 消費税

合法的に抑える具体的な方法を、
初心者にも分かる解説と、実務者向けの一段深い視点の両方から解説します。

※この記事は、食品輸入の基本的な流れを理解している方向けの実務解説です。
まだ全体像を整理できていない場合は、
👉 【図解】食品輸入の流れを初心者向けに完全解説|申告・関税・NACCSまで
を先に読むことをおすすめします。


食品輸入でかかる税金の基本

関税の仕組み

食品を輸入する際は、税関で品目ごとに定められた関税率に基づいて関税が課されます。

例(目安)

  • チーズ:8%
  • チョコレート:10%
  • 果物:0~5%

この関税率を決めているのが、**HSコード(品目分類番号)**です。

【補足|HSコードとは?】
HSコードとは、世界共通の6桁(日本では9桁)の商品分類番号で、
**「この商品は何か」=「どの税率をかけるか」**を決める基準です。
同じ食品でも、加工度・用途の違いで税率が変わることがあります。


消費税の仕組み

輸入時には、国内取引と同様に**消費税(10%)**がかかります。

計算式

輸入消費税 =(課税価格 + 関税額)× 10%

課税価格に含まれるもの

  • 商品価格
  • 海上・航空運賃
  • 保険料

これらを合計したものをCIF価格と呼びます。

【補足|CIF価格とは?】
CIF(Cost, Insurance and Freight)とは、
**「商品代金+保険料+運賃」**を含めた輸入価格のことです。

👉 重要ポイント
関税を下げると、その分だけ消費税も下がります。
つまり、関税対策=消費税対策でもあるのです。


合法的に関税・消費税を抑える方法

1. 特恵関税(FTA/EPA)の活用【最重要】

日本は多くの国と
自由貿易協定(FTA)・経済連携協定(EPA)
を締結しています。

これらを利用すると、

  • 通常関税 → 軽減
  • 場合によっては 関税0%(無税)

で輸入が可能です。

  • 日本-オーストラリアEPA:牛肉・乳製品の関税削減
  • 日本-タイEPA:果物・加工食品の関税軽減

上級者向け:実は「無税」になる特恵の種類

  • EPA即時撤廃品目
    → 協定発効時から関税0%
  • 原産地累積ルール
    → 原材料が複数国でもEPA域内なら無税適用
  • 一般特恵関税(GSP)
    → EPA未締結国でも関税0%になる品目あり
  • 後発開発途上国(LDC)特恵
    → ほぼ全品目が関税0%

👉 「この食品は本当に有税なのか?」を疑う視点が重要です。


実務ポイント

  • 原産地証明書(CO)を必ず入手
  • HSコードと契約書・インボイスの内容が一致しているか確認
  • 原産地基準(原産地率・加工工程)を満たしているか確認

【補足|原産地証明書(CO)とは?】
その商品がどの国で生産・加工されたかを証明する書類。
特恵関税を使うための「入場券」です。


食品輸入の手続きについてはこちらの記事で詳しく解説しています
食品輸入の必要手続きと検疫の流れを徹底解説

2. HSコードの正確な分類

HSコードを誤ると、

  • 本来より高い関税を払う
  • 特恵関税が否認される

といったリスクがあります。

実務例

  • チョコレートを
    「菓子類」ではなく「食品原料」と誤分類
    → 関税10% → 5%

👉 分類次第で税率が変わるのがHSコードの怖さ

税関相談窓口や通関士を活用し、
**「最も適正で有利な分類」**を選ぶことが重要です。


👉 関連:[HSコードの調べ方を初心者向けに解説|初心者が間違えやすい3パターン]

3. CIF価格を適正化する

関税・消費税はCIF価格がベースになります。

  • 運賃
  • 保険料

を適正に見直すことで、間接的な税額削減が可能です。

【注意】

  • 実費より低く申告する「過少申告」は違法
  • あくまで合理的・説明可能な範囲での最適化が前提

4. 消費税の繰延・還付という視点【上級者向け】

✔ 課税仕入控除

輸入時に支払った消費税は、
原則として全額控除可能です。

👉 実質的には「一時的な立替」

✔ 輸出が絡む場合の還付

  • 輸入 → 国内保管 → 輸出
  • 越境EC

などでは、消費税が還付されるケースもあります。

✔ 保税制度の活用

保税倉庫に置いている間は、
関税も消費税も未課税

👉 高額食品・再輸出予定品では強力な手段


5. まとめ買い・配送手段の工夫

  • 小口分割よりまとめ輸入
  • 航空便より海上便

これにより、

  • 運賃
  • 通関手数料
  • CIF価格

を下げ、結果として税額も抑えられます。


食品輸入で関税・消費税を合法的に抑える方法まとめ

  • 食品輸入の関税・消費税は
    HSコード・CIF価格・特恵関税の活用で合法的に抑えられる
  • 特恵関税適用には
    原産地証明書と条件確認が必須
  • 消費税は「コスト」ではなく
    繰延・還付の対象になり得る
  • 違法申告・過少申告は絶対に避けること

よくある実務トラブル別・詳しい解説はこちら



参考資料

  1. 財務省 税関「輸入関税率表・HSコード検索」https://www.customs.go.jp/tariff/
  2. JETRO「FTA/EPAを活用した食品輸入」https://www.jetro.go.jp/
  3. 経済産業省「EPA・FTAの概要と活用法」https://www.meti.go.jp/
  4. 農林水産省「食品輸入における関税・検疫の基礎」https://www.maff.go.jp/