食品輸入で命令検査になるケースと回避策|止まりやすい食品と実務チェックポイント

ケース別・商品別の注意点

※この記事は、食品輸入の基本的な流れを理解している方向けの実務解説です。
まだ全体像を整理できていない場合は、
👉 【図解】食品輸入の流れを初心者向けに完全解説|申告・関税・NACCSまで
を先に読むことをおすすめします。

「輸入申告したら命令検査で止まった…」

輸入申告は通関・検疫・食品衛生法の審査を経て完了しますが、なかでも 「命令検査」 は通関のストップ要因として非常に多く見られます。

  • 書類上は問題なく見えたのに命令検査が来た
  • 急ぎの輸入なのに通関日数が伸びた
  • 思わぬ検査費用が発生した

といった失敗は、事前チェック不足が原因の場合がほとんどです。

この記事では、

  • 命令検査になる典型的なケース
  • 実務上のチェックポイント
  • 命令検査を回避/最小化するための方法

を、**実務視点でわかりやすく整理します。


命令検査とは?通関との関係

**命令検査(食品衛生法に基づく検査)**は、輸入食品が安全基準に適合しているかを確認するために厚生労働省(食品衛生監視)や検疫所が行う検査です。
通関とは独立した制度ですが、 命令検査対象になると輸入申告がストップ します。

👉関連:[輸入通関で止まる主な原因7つ|税関から連絡が来た時の対処法]

👉 関連:[食品輸入の必要手続きと検疫の流れを徹底解説]


命令検査になるケース|実務でよくあるパターン

(1) 危害性が高い食品

以下は、微生物汚染のリスクが高いため命令検査対象になりやすい食品です。

生鮮食品

  • 生肉(牛肉・豚肉・鶏肉)
  • 魚介類(生食用・加工品含む)
  • 野菜・果物(特に生で食べるもの)

これらはサルモネラ・リステリアなどの汚染リスクが高く、検査命令が出やすいです。

乳製品

  • 生乳・チーズ・バターなど乳製品全般

未加熱や低温殺菌の乳製品は微生物リスク評価が高く、書類だけで通さないケースが多く見られます。

卵・加工卵製品

卵黄・卵白だけの製品や、加工卵製品も検査対象になることがあります。

理由:生食・加熱不十分時の微生物汚染リスクが高いため。

👉 参考リンク(厚生労働省 輸入食品監視)
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/shokuhin/yunyu_kanshi/index.html


(2) 過去に違反歴がある食品

食品衛生法違反歴のある食品

  • 農薬残留基準超過
  • 添加物使用制限違反
  • 表示義務違反

過去にこうした違反歴がある食品は、リスク評価が高く命令検査入りしやすいです。

安全性が不明・不安定な輸出先からの食品

輸出国・メーカーに違反歴や情報が乏しい場合も、書類審査だけで通らず検査命令が来る可能性があります。


(3) 特定の成分・規制物質が関わる食品

制限がある食品添加物

海外では使える添加物でも、日本で使用制限・未承認のものは要注意です。

特定アレルゲンを含む可能性がある食品

  • 小麦
  • 落花生 など

日本では表示義務があり、アレルゲン含有の証明が不十分だと検査対象になりやすいです。


(4) 動植物由来製品

動物性加工食品

  • ハム・ソーセージ・パテなど
    加熱・加工済でも、動物性由来成分が入っていると検疫上のチェックが入ります。

海藻・乾燥きのこ等の植物性原料

一見リスクが低そうでも、植物検疫対象になることもあります。

👉 参考リンク(農林水産省 植物防疫・動物検疫)


実務上のチェックポイント

命令検査対象リストは毎回チェックする

命令検査対象品目は毎回同じではありません
税関・厚労省の通知やリストを最新のものに更新してチェックしましょう。

👉 参考リンク(厚労省 輸入食品監視)
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/shokuhin/yunyu_kanshi/index.html


一部抜き取り/全数検査の区別

命令検査には、

  • 一部抜き取り検査
  • 全数検査

があります。
全数検査になると時間・費用が大きく増えるため、輸入前のラボ試験・書類整備で抜き取り検査レベルへ誘導することが重要です。


過去違反のあるメーカー・輸出国は要注意

輸出者・加工者の過去違反歴は、命令検査の判定要素になります。
可能であれば、

  • 製造工程表
  • HACCP証明書
  • 自主検査報告書

などの書類を事前提出するとリスクを下げられることがあります。


命令検査を回避するための実践チェックリスト

以下を輸入前に必ず確認してください:

☑ 国内での食品表示・成分規制に該当するか
☑ 過去の違反歴がないか
☑ 輸出先国の安全性評価
☑ 検疫・検査対象が含まれる原料の有無
☑ ラボ検査や事前相談(税関・検疫所)を実施済み


まとめ|命令検査はストップではなく「警告」

命令検査は通関のストップ要因として非常に一般的ですが、事前にリスクを押さえれば避けられるケースも多いです。

命令検査対策のポイント:

✔ 危害性が高い食品を把握する
✔ 過去違反歴のある食品・輸出国は注意
✔ 規制成分・アレルゲンをチェック
✔ 最新の命令検査リストを確認
✔ 書類・試験結果を事前に整備

命令検査は「止められる理由」を教えてくれる制度です。
リスクを事前に潰すことこそ、最短でスムーズな輸入通関への近道です。

よくある実務トラブル別・詳しい解説はこちら


参考資料

  1. 厚生労働省 輸入食品監視・検査制度
    https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/shokuhin/yunyu_kanshi/index.html
  2. 農林水産省 植物検疫のご紹介(輸入植物)
    https://www.maff.go_jp/pps/j/introduction/index.html
  3. 農林水産省 動物検疫(輸入動物性製品)
    https://www.maff.go_jp/j/syouan/douei/eisei/sop/index.html
  4. 財務省 税関 実行関税率表
    https://www.customs.go.jp/tariff/2025_04_01/index.htm