商用輸入と個人輸入の違いを一言でいえば、
「販売目的か、自分で使う目的か」という一点です。
ただ、この “たった1点” が、必要書類・税率・通関手続き・トラブル原因に大きく影響します。
本記事では、輸入初心者が迷いやすいポイントを中心に、商用輸入と個人輸入の違いを分かりやすくまとめます。
■ 商用輸入と個人輸入の基本的な違い
● 商用輸入とは
販売目的で輸入すること。
EC販売(Amazon、楽天、メルカリ)や法人事業で扱う場合が該当します。
● 個人輸入とは
自分自身で使用するために海外から品物を取り寄せること。
小口で日用品、化粧品、衣類などを買うケースが多いです。
■ 商用輸入と個人輸入の「違いを比較表」で理解
| 比較項目 | 商用輸入 | 個人輸入 | |||
| 目的 | 販売・業務利用 | 自分で使用 | |||
| 許可の必要性 | 商品により許可・届出が必要 | 一部のみ必要(医薬品等) | |||
| 必要書類 | インボイス・パッキングリスト・輸入者届出など | インボイス程度(少量) | |||
| 税率(関税・消費税) | 商品ごとに通常課税 | 簡易税率 適用される場合あり | |||
| 数量制限 | 特に制限なし(ただし規制品は別) | 過度に多いと商用扱いへ | |||
| 代表的なトラブル | 税額が想定より高い/許可不足で保留 | 量が多くて商用扱いになる | |||
| 通関の難易度 | 高い | 低い(少量の一般貨物) | |||
■ 商用輸入で必要な書類一覧
商用輸入では、次の書類が必須または提出を求められます。
● インボイス(Invoice)
商品の明細書。価格・数量・原産地などを記載。
● パッキングリスト(Packing List)
梱包内容の詳細(重量・容積など)。
● Bill of Lading(船荷証券)またはAWB
貨物の輸送書類。
● 輸入者コード(法人・個人事業主)
税関に輸入者として登録するためのコード。
取得は無料で、税関に申請するだけです。
● 規制品の許認可書類
食品、化粧品、医薬品、電波機器などは省庁の許可が必要です。
■ 個人輸入で必要な書類
個人輸入は、基本的にはインボイスがあれば通関できます。
ただし、下記の場合は追加書類を求められます。
● 商品の使用目的の申告
自己使用である証明(メール・注文画面など)。
● 医薬品の場合
厚労省の「個人輸入の確認書」など。
● 食品の場合
少量でも検疫の対象になることがあります。
■ 費用と税率の違い
輸入で支払う費用は以下の通りです。
商品の代金
国際送料
関税
消費税(10%)
通関手数料
国内配送費
商用と個人で違いが大きいのは、関税と消費税の計算方法 です。
■ 「商用輸入」の税率
商用輸入では、商品ごとに決められた通常の関税率が適用されます。
例:
衣類 → 8〜16%
バッグ → 8〜10%
靴 → 30%前後
アクセサリー → 3.9%など
※HS-コードで正確に決まります。
■ 「個人輸入」の税率:簡易税率が適用されやすい
個人輸入では 10万円以下の貨物 に「簡易税率」が使われ、関税が低く計算されます。
例:
衣類 → 一律 10%
革製品 → 20%
カバン → 15%
さらに、個人輸入では 課税価格 × 60%(減額される) が課税対象になります。
■ 初心者が迷いやすい「商用扱いになるライン」
個人輸入であっても、次のような場合は 商用輸入扱い になります。
● 同じ商品を複数個
例:Tシャツ 10枚
→ 自分用で10枚買うのは不自然 → 商用と判断されるリスク大
● 高額品を大量注文
明らかに販売目的とみなされることが多いです。
● 化粧品を2ヶ月分以上
個人輸入では 使用量の上限 があるため、基準を超えると商用扱い。
■ 商品別「特例・規制」に注意(初心者が知らない落とし穴)
● 食品
検疫が必要。
特に肉製品、乳製品は輸入禁止のものが多い。
● 化粧品
1品目24個以上は商用扱い。
薬機法の対象になる。
● 電波を発する機器
例:スマホ、ドローン
→ 技適マーク が必要。
● 医薬品
個人輸入は 2ヶ月分まで が原則です。
こちらの記事もご参照ください → 「食品輸入のカテゴリー」
■ 商用輸入でよくあるトラブルと対処法
① 税額が予想より高い
→ HS-コードの誤りが原因。
事前に税番を確認 することで防止可能です。
② 書類不備で通関が止まる
→ 特にインボイスの記載不足(原産国や数量)。
③ 規制品の許可がなく差し止め
→ 食品・化粧品でよく起こります。
先に省庁の指導要件を確認するようにしましょう。
④ 輸送中の破損や紛失
→ 貨物保険の加入が有効です。
👉 関連:[HSコードが分からない時の調べ方|初心者が間違えやすい3パターン]
👉 関連:[インボイスの記載ミスで通関が遅れる理由|NG例と修正方法]
■ 個人輸入でよくあるトラブル
① 量が多くて商用扱いされる
→ 使用目的の証明を求められる。
② 食品が検疫で止まる
→ 海外の食材を気軽に買うと起きやすい。
③ 送料が非常に高くなる
→ 個人輸入の盲点。業者割引がない。
④ 偽物(コピー品)が届く
→ 海外サイトの利用は注意が必要。
👉 関連:[食品輸入の必要手続きと検疫の流れを徹底解説]
■ まとめ:初心者は「目的」で判断すると迷わない
商用輸入と個人輸入の判断は 目的(販売か自分用か)で明確に決まります。
販売するなら → 商用輸入(許可・書類多め・税率通常)
自分で使うなら → 個人輸入(簡易税率で安い)
特に重要なのは、
個数・品目・使用量・許可が必要な商品か
この4点を事前にチェックすることです。
商用輸入・個人輸入 記事参考リンク
- 日本税関:個人輸入と商用輸入の違い
- https://www.customs.go.jp/tsukan/kojinyunyu.htm?utm_source=chatgpt.com
- 説明:個人輸入と商用輸入の定義、手続きの違い、関税・消費税の計算例などを公式に解説。
- JETRO(日本貿易振興機構):輸入手続きガイド
- https://www.jetro.go.jp/world/
- 説明:商用輸入向けの手続きや必要書類、輸入規制について初心者でも理解できる内容。
- 厚生労働省:個人輸入(医薬品・食品などの注意点)
- https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/shokuhin/yunyu_kanshi/index.html
- 説明:医薬品・食品など個人輸入で規制対象になる商品の詳細、注意点を公式に紹介。
- 経済産業省:輸入規制と許可制度
- https://www.meti.go.jp/policy/anpo/
- 説明:商用輸入の際に必要な許認可、規制品の一覧、通関手続きの基礎情報を提供。


