原産地証明書(Certificate of Origin: COO)は、国際食品取引において不可欠な書類です。食品の生産国を証明し、通関、検疫、自由貿易協定(FTA)による関税優遇などで必要になります。
不備や誤りがあると、通関遅延、輸入拒否、関税優遇の喪失など、輸入者にとって大きな損失となる可能性があります。本ガイドでは、食品におけるCOOの必要性、作成方法、よくあるトラブル、実務上のチェックリストを含め、わかりやすく解説します。
原産地証明書(COO)とは?
原産地証明書(COO)は、国際貿易で商品の原産国を証明する公式書類です。
食品輸入におけるポイント:
- 商品の生産または加工国を証明
- 多くの国で通関に必須
- FTAに基づく関税優遇を受ける際に必要
- HSコードや衛生証明書、検疫証明書などの書類と併せて提出
- 発行機関は商工会議所、政府機関、または輸出者本人による自己申告が国により異なる
COOの種類:
- 非優遇原産地証明書(Non-preferential COO):原産国を証明するのみで関税に影響しない
- 優遇原産地証明書(Preferential COO):FTAで関税軽減を受ける際に必要。原産地規則(rules of origin)を満たす必要あり
食品輸入でCOOが必要となる場合
- 通関
- 多くの国で、食品の原産国確認のためCOOが要求されます。
- 関税優遇を受ける場合
- FTAに基づき、関税軽減を受けるにはCOOが必要です。
- 検疫・規制対応
- 検疫当局は、COOをもとに植物・動物検疫、輸入禁止品の確認、地域規制を判断します。
事例
- チリ産の生果物:日本-チリEPAで関税優遇を受けるためにCOOが必要
- フランス産非加熱チーズ:動物由来食品検査のため生産国を確認
- ハーブティー:原材料の原産地を示すことで植物検疫に対応
特恵関税についてこちらの記事で詳しく解説しています
→ 食品輸入で関税・消費税を合法的に抑える方法
COO作成手順
ステップ1:必要性の確認
- 食品の種類と輸入国でCOOが必要か確認
- FTAに基づき優遇COOが必要か確認
- 発行機関の確認(商工会議所、政府機関、輸出者自己申告など)
ステップ2:必要情報の収集
- 輸出者・輸入者情報
- 商品説明とHSコード
- 数量、重量、梱包情報
- 原材料の原産国(特に加工食品の場合)
ステップ3:COOの作成・確認
- インボイス、パッキングリスト、通関書類と一致させる
- 署名、押印、またはデジタル認証を確認
- 優遇COOの場合は、原産地規則を満たしているか確認
ステップ4:提出
- COOを衛生証明書や検疫証明書などと共に通関に提出
- デジタル・紙コピーを保管(監査や確認用)
こちらの関連記事も併せてご参照ください
→ HSコードの調べ方を初心者向けに解説|初心者が間違えやすい3パターン
→ 衛生証明書は「提出しない」選択肢もある?実務で失敗しない判断基準を解説
COOに関するよくあるトラブルと対策
| トラブル | 原因 | 例 | 対策 |
|---|---|---|---|
| COOが通関で認められない | 署名・押印の不備や記入漏れ | 生果物が日本港で遅延 | 発行機関を確認し、全項目を正確に記入 |
| インボイスやHSコードと不一致 | COOと他書類の内容差異 | 非加熱チーズが優遇関税対象外 | 数量・重量・記載内容を完全一致させる |
| 優遇COOが無効 | 原産地規則を満たさない | 加工菓子がASEAN FTAで関税軽減不可 | 原材料の原産地確認、FTA条件を事前確認 |
| 自己申告COOが拒否 | 輸入国で自己申告COO非対応 | 冷凍野菜のCOOがEU通関で拒否 | 商工会議所発行COOを使用 |
食品別COOチェックリスト
| 食品種類 | COOの種類 | 他必要書類 | 注意点 |
|---|---|---|---|
| 生鮮果物・野菜 | 優遇 / 非優遇 | 植物検疫証明書 | FTA規則確認、禁止種確認 |
| 乳製品(チーズ・ヨーグルト) | 優遇 / 非優遇 | 動物検疫証明書、輸入届出 | 非加熱品の確認 |
| 加工肉製品 | 優遇 / 非優遇 | 動物検疫証明書、食品衛生届出 | 原材料多国産の場合は注意 |
| 菓子・調味料 | 優遇 / 非優遇 | 食品衛生届出 | 優遇関税取得のため原材料原産地確認 |
| 冷凍・包装食品 | 優遇 / 非優遇 | 食品衛生届出、HSコード確認 | 原材料原産地とCOOを一致させる |
| 全食品共通 | 非優遇COOが必要な場合あり | 通関書類 | 最新規制を毎回確認 |
COO実務の流れ
- 輸出者がCOO申請 →
- 商工会議所や発行機関が原産地確認 →
- COO発行(署名・押印・デジタル認証) →
- 輸出者が輸入者に送付 →
- 輸入者が通関・検疫書類と共に提出 →
- 通関・関税適用
ヒント:加工食品の原材料が複数国産の場合、優遇COOの原産地規則を満たすか注意が必要です。
輸入者向けCOOの注意点
- 事前計画: COO作成を輸入スケジュールに組み込む
- 輸出者との調整: FTAや書類要件を共有
- 書類整合: COO、インボイス、パッキングリスト、検疫・衛生証明書を一致
- 最新情報確認: 原産地規則やCOO要件は定期更新される
- デジタル活用: デジタルCOO提出で処理・記録の効率化
国際的考慮ポイント
- 日本: MAFF、MHLW、税関
- EU: 関税優遇のためCOOが必要
- 米国: FTA(例:USMCA)でCOO必要
- 中国: 通関でCOO必須、輸出国商工会議所による確認も多い
本記事は日本中心ですが、原則は国際的に共通です。各輸入国の規制を確認してください。
まとめ
- COOは通関、検疫、FTAによる関税優遇に不可欠
- 輸入者が行うべきポイント:
- COOが必要か確認(優遇・非優遇)
- 正確かつ検証可能なCOOを作成
- インボイス、HSコード、検疫証明と一致させる
- 優遇関税の場合は原産地規則確認
- COO検証・通関のためスケジュールに余裕を持つ
- 食品別チェックリストやフローを活用することで、誤りや遅延を防ぎ、スムーズな輸入が可能です。
👉 関連:[インボイスの記載ミスで通関が遅れる理由|NG例と修正方法]
👉 関連:食品輸入の流れをゼロから理解!申告・関税・NACCSまで[図解]
参考リンク
- 日本税関 – 原産地証明書
https://www.customs.go.jp/english/c-answer_e/coa_e.htm - 日本商工会議所 – 輸出用証明書
https://www.jcci.or.jp/english/ - 農林水産省(MAFF) – 輸入要件
https://www.maff.go.jp/aqs/english/ - 世界貿易機関(WTO) – 原産地規則
https://www.wto.org/english/tratop_e/rulesorigin_e/rules_origin_e.htm - 欧州委員会 – 優遇関税用COOガイド
https://trade.ec.europa.eu/doclib/docs/2011/july/tradoc_148003.pdf


