日本のHSコード分類が厳しい理由と海外輸出者が注意すべきポイント

ケース別・商品別の注意点

※私は国際貿易の実務経験がありますが、通関士や行政書士の資格はありません。本記事は一般的な情報提供と実務上の参考を目的としており、個別案件の判断や公式見解ではありません。具体的な判断は、必ず管轄の税関や専門家にご相談ください。


この記事の概要

本記事では、なぜ日本のHS(Harmonized System)分類が他国より厳格とされるのか、その理由と海外サプライヤーや輸入者が取るべき実務対応を解説します。
ポイントは以下の通りです:

  • 原則として保守的な解釈をすること
  • 製品の客観的情報(素材・構造・用途)が重要視されること
  • 輸入者の責任が非常に重いということ
  • 税関の審査がより厳密で徹底していること

初心者向けのHSコード解説「[HSコード初心者ガイド:よくある3つの間違い]」とも併せて読むと理解が深まります。


この記事の推奨読者層

  • 日本向けに商品を輸出する海外企業
  • 国際越境ECに関わる海外販売者
  • 日本での通関申告に責任を持つ輸入者
  • 税関とのHSコードトラブルを経験したことがある方

理由1:日本は製品の客観的特性を重視する

日本の税関は、以下の点を非常に重視します:

  • 材質(素材)
  • 製造工程
  • 物理的な構造
  • 輸入時の用途

製品名や商業的ラベルだけでは判断されません。

ラベル表示に関してはこちら関連記事をご参照ください。
👉食品輸入を始める前に必ずやるべき準備リストと原材料表示で失敗しないための注意点

例:

「キッチンアクセサリー」と表示されている製品でも、以下によって分類が変わります:

  • プラスチック / シリコン / 金属
  • 家庭用 / 業務用
  • 電気機能あり / なし

海外では幅広い商業カテゴリが受け入れられる場合がありますが、日本では技術的に説明可能な分類が求められます。

初心者向けHSコードの解説はこちら:
👉 [HSコード初心者ガイド:よくある3つの間違い]


理由2:輸出者のHSコードは信用されない

よくある誤解:

「輸出者が指定したHSコードだから問題ないはず」

日本では通用しません:

  • 輸出者のHSコードは参考情報にすぎません
  • 税関は製品を独自に評価します
  • 最終責任は日本の輸入者にあります

なぜ重要か

各国でHSコードの国内サブ分類や解釈が異なるため、6桁コードが同じでも分類ロジックが違うことがあります。


理由3:日本のリスク管理は原則として保守的である

日本の税関は、特に以下の分野で保守的です:

  • 食品
  • 化学物質
  • 電気・無線機器
  • 医療・準医療品

分類が以下に影響する場合、コードは厳しくチェックされます:

  • 関税率
  • 規制要件
  • 安全検査

この厳格さは以下を目的としています:

  • 法令遵守
  • 消費者安全
  • 貿易統計の正確性

参考記事:
👉 [食品輸入の必要手続きと検疫の流れを徹底解説]
👉 [食品輸入ステップ解説:7つの必須手順]

関連:
👉 [食品輸入で関税・消費税を合法的に減らす方法]


理由4:輸入者の責任が非常に重い

日本では輸入者に次のことが求められます:

  • 製品を正確に理解する
  • 適切なHSコードを選定する
  • 選択理由を説明できること

「とりあえず推測」での分類は認められません。
税関から分類の疑義が生じた場合は、以下の資料が必要です:

  • 技術仕様書
  • 製品カタログやマニュアル
  • 写真やサンプル
  • 分類ロジックの書面による説明

日本でHSコードが却下されやすい状況

  • 加工品を生鮮品として申告
  • 素材が混合または入り組んでいる
  • 多機能製品である
  • 新規・珍しい製品である
  • 輸出者のHSコードをそのまま利用

これらは、税関照会、申告修正、通関遅延、遡及的関税修正につながることがあります。

参考記事:
👉 [食品輸入でよくある通関トラブル10選と回避法]


輸入者が日本の厳格なHS分類に対応する方法

  1. ラベルではなく事実で分類
    素材・構造・機能に注目
  2. 分類理由を準備
    • なぜこのHSコードか
    • 他の候補はなぜ不適切か
  3. 証拠資料を保管
    • 仕様書
    • メーカー情報
    • 過去の輸入記録
  4. 必要に応じて事前相談
    • 通関業者
    • 過去の税関判断
    • 境界線上の製品は事前問い合わせ

詳細解説:
👉 [輸入者・通関業者・税関の役割と実務チェックリスト]


HSコード分類の正解は一つではない

  • 複数のHSコードが妥当な場合もあります
  • 税関は説明や証拠に基づき1つを受理することがあります
  • 大事なのは「合理的」「一貫性がある」「説明可能」であること

海外輸出者向け実務ポイント

  • 仕入先HSコードを日本の税関基準で検証すること
  • 製品仕様・分類理由を文書化しておくこと
  • 規制トリガー(食品衛生法、電波法、薬機法)について理解を深めること
  • 日本税関のTariff Searchを活用すること

Q&A:海外輸出者のよくある疑問

Q1. 輸出者のHSコードをそのまま使えますか?

  • 使えません。参考情報にすぎず、最終責任は日本の輸入者にあります。

Q2. 他国で受理されたコードが日本で質問されるのはなぜ?

  • 日本はより保守的で、関税、安全、規制順守に影響する場合、細かい違いでも確認されます。

Q3. 境界線上の製品はどうすればよい?

  • 候補コードを比較、理由を文書化、仕様書や写真を準備すると良いでしょう。
  • 通関業者や税関への事前相談も有効です。

参考リンク

  1. 日本税関 – 関税率表検索
  2. 日本税関 – HSコード概要
  3. 日本税関 – 輸入手続・規制
  4. 財務省 – 通関ハンドブック